私の/脳みそ/と/腹ん中

親日モラトリアムのストリップ的抒情歌。

みどり

 

 

今日閉店するお店に、昨夜飲み納めに行った。

 

 

 

普段から異様な雰囲気を

放つ空間ではあったが、

 

昨日は格段に違っていた。

 

 

誰も何も話すでも無く、

 

ただ、

マスターも客も皆、

 

終わろうとしてるあの空間の歴史の音に、

耳を澄ましている。

 

 

みんな、ただ聞いていた。

 

 

言葉を発するなんていう表現方法が

あんなに無力で浅はかであると、

 

かつて感じたことはあっただろうか。

 

 

 

呆気なく、刻々と近づくその時に

覚悟を決めたかのように笑う人。

 

 

 

数え切れないほどの人間の感情が

色濃く残り染み着き、

 

それがいまだ激しく行き交う店内が

とても騒がしく、うるさかった。

 

 

 

マスターの生きてきた道を、

足跡を辿りながら追う私がいた。

 

その時々での感情が順番に私に降りかかり、

私は受け止め切れず泣きながら、

 

ただ横に座ってくれているマスターと飲んだ。

 

 

 

1人の人間を視る時に

 

涙が溢れ止まらなくなる時の決まりを

思い出し、

 

どうにも出来ない寂しさと不甲斐なさに、

 

20歳の私は下を向いて泣くしかなかった。

 

 

 

最近、久しぶりに自分のこの力を

大事にするようにしている。

 

少々体力は使うが、

今の私なら許容出来る気がするのだ。

 

 

置かれた現状に戦いを挑む為の訓練をする時が

やって来たのかもしれない。